野球の世界一を決める国別対抗野球大会「WBC(World Baseball Classic)」が、アメリカのロサンゼルスで開催され、日本は、決勝戦でキューバに10-6で勝ち、初代チャンピオンに輝いた。
まあ、そんな事は、誰もが知っているだろうし、今更、うちが、扱うような代物でもない。 さて、良識と品格と独創性を重んじる、「tocotoco」としては、少し違った視点から、今回の「WBC」を振り返ってみたいと思う。 ●組み合わせの不思議 2次リーグには、8ヵ国が参加した。グループ1には、日本、アメリカ、韓国、メキシコ。グループ2は、キューバ、ドミニカ、べネゼエラ、プエルトリコ。と、いう組み合わせに分かれた。 日本と韓国、アメリカとメキシコ、キューバとプエルトリコ、ドミニカとベネズエラは、それぞれ1次リーグでも対戦している。 サッカーのW杯をはじめとする国際的な大会では、同じ地域やエリアから進出した国やチームが、本大会で、重ならないように組まれるのが一般的である。 何故、こういうなったのか? 穿った見方をすれば、これが、開催国アメリカに、一番有利な組み合わせだから、である。 結果として、アメリカは2次リーグを突破することが出来なかったけど……ね。 ●判定の不思議 今大会の審判は、すべてアメリカ人である。しかも、金銭的な折り合いがつかず、メジャー級の審判は雇えなかった。という、オマケ付き。 「国別対抗世界一野球決定」を謳っているわりには、あまりに公平さに欠けてないかい?どうせ、やるんなら、ちゃんとやろうよ。と、思うのは、私が、生真面目な日本人だからか? 案の定、と言うべきか、大会前から危惧されていた審判のレベルの低さは露呈した。 「『誤審』もあるのが、野球である」と、開き直れるのは、それによって得をした側だけかもしれない。 もしも、日本の対戦相手のタッチアップが早過ぎたとして、判定が「セーフ」から「アウト」に覆されたとしたら、日本は「いや、今のは『セーフ』でいいです」と、抗議したのだろうか? ●メディアの不思議 「WBC」の試合は、ESPNチャンネルが放送していた。が、2次リーグの「アメリカ—韓国戦」「日本—韓国戦」は、生中継されなかった。また、決勝の「日本—キューバ戦」も、カレッジバスケットが延長になったため、放送時間が遅れ、日本の初回の攻撃は、ほとんど放映されなかった。もう一度言うが、世界一を決める、決勝戦である。なんで、フルカバーしないんだ? 日本人はマイナーだから?日本がナメられているから?アメリカが負けたから?韓国が嫌いだから? まあ、元々、建国の歴史は浅いし、大人気ないところがあるのは知ってるけどさぁ。一応、ホスト国なんだから、もう少し、大人になろうよ、大人に。ねえ、アメリカ君。 *「日本—メキシコ戦」は、ESPNではなく、チャンネル9で生中継されていた。 ●髪型の不思議 日本人選手の髪型が気になった。えりあしを伸ばし、金髪に染めていた。あれが、日本では「カッコイー」とされるのだろうか?子供達は、彼等の姿に憧れるのだろうか?何かにつけ「教育上よくない」と目くじらをたてる人達も、あれは「オッケー」なのだろうか? 前回のサッカーW杯にも書いたが、もし、私が金髪の西欧人で、黒髪を金髪に染めている日本人を見たなら、「そうか、そうか。オマエ等、俺達に憧れてんのか。こんなヤツ等に負けるわけがなえよな」と、思うだろう。試合前から、相手側を精神的に優位にさせて、どうすんだ、ニッポン! ●スポンサーのロゴの不思議 問題です。2次リーグに参加した8ヵ国の中で、日本だけ、他とは違ったことがあります。さて、それは、なんでしょう?答えは、次号の「tocotoco」で。な〜んて、そんな、イジワルは言いません。 正解は、日本チームだけ、ユニホームの部分とヘルメットに、スポンサーのロゴが入っていた。です。 「な〜んだ」と、思う人もいるだろうし、日本に住んでいる人にとっては、あまり気にならないことかもしれない。 けれど、日本を除いた、他のチームは、すべて、胸に国名、肩口の部分に国旗だけだったのは事実である。 あの冷静なイチロー選手が、珍しく、大会前も大会中も「日の丸を背負って戦う」と、コメントしていた。 私も、私の友人達も日本を応援していた。いや、だからこそ、余計、「JAPAN」と「日の丸」だけで、充分じゃない、とも感じたのである。 「スポンサーとして、金出してんだ」という理屈は、わからくはない。でも、そこは敢えて……ねえ。 結局、日本という「国」には、常に、「カネ」や「企業」の影がちらつく。まあ、「それが、『日本』のオリジナリティーだ」と、いう意見もあるだろうが、それなら、「だから、日本は世界の『田舎者』」と、言われても、仕方ない、よね。 ●母国の不思議 大会前は、あまり「WBC」に興味がなかった。ここ十数年は、ずっとメジャーを観戦し、ヤンキースを応援していたので、日本の野球からは離れていた。今回の日本代表チームで、知っている選手は、イチロー以外、ほんの数名だった。むしろ、少年時代と巨人のV9時代が重なる私としては、王監督やコーチ達に親しみを感じた。 しかし、いざ、大会が始まると、違った。 対アメリカ戦で、日本チームを応援していた。韓国に連敗した時は、悔しかった。メキシコがアメリカに勝ち、決勝トーナメント進出が決まった時は喜んだ。福留のホームランに歓喜した。松坂、上原のピッチングに鳥肌がたった。イチローの偉大さを改めて感じた。そして、王監督が宙に舞う姿に、胸が熱くなった。 自分では、それほど愛国心が強い方だとは思っていない。けれど、日本を応援し、勝つことを祈った。 生まれ育った国。母国とは、不思議なものである。 ●tocotocoの不思議 これほど洞察力があり、「WBC」を大局的見地から考察している「tocotoco」が、なぜ正当に評価されないんだろう?飲み屋のおねーちゃん達に「ああ、あのイヤラシイやつでしょ」と、言われる度に、悲しい気分になるが、まっ、それもアリ、か。 いや〜、また「あさひ」を越えてしまったか。あっ、いや、ロゴの話じゃなくて……、ねっ。 それにしても、日本代表チームの活躍は、素晴らしい、の一言に尽きる。 今大会での優勝が、ニューヨークに住んでいる日本人に、どれほど勇気と感動を与えたことだろう。 選手の皆さん、本当に、ありがとうございました。 そして、王監督をはじめ、コーチ、スタッフの方々、世界一、おめでとうございます。(黒須田 流) Photo / REUTERS / Lucy Nicholson (原文まま) *掲載号では、校正、編集したものを発行* 2006年3月31日号(vol.119)掲載
by tocotoco_ny
| 2006-03-27 14:59
| toco流
|
カテゴリ
全体 バックナンバー 2008年12月26日号 2008年11月号 2008年10月号 2008年9月号 2008年8月号 2008年7月号 2008年6月号 2008年5月号 2008年4月号 2008年3月号 2008年1、2月号 2007年1〜12月号 2006年1〜12月号 特集見開きページ toco流 SOUVENIR from NY tocoloco アンダードッグの徒 ニッポンからの手紙 ヴェルサイユの鯖 Kamakiri no ashi 人妻日記 ご無沙汰むかで オンナの舞台裏 THE untitled 2万円でどう? 無名の人々 ガイドブックにない島 ゴタムのうたげ キューバの歩き方/2006 定期購読のお知らせ tocotoco設置店リスト 編集部からのお知らせ 残念ながら廃刊しました!
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
ファン申請 |
||