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vol.31/アメリカナイズ<むかでのすきっぷ>

その15. 今の総理大臣の名前がわからない(6)
 その他の国に目を向ければ、お隣の韓国では歴代の大統領が汚職で糾弾され長い間投獄されたし、インドネシアのスハルト大統領は一族が主な産業を支配して巨額の富を抱え、私腹を肥やしているのは周知の事実だし、フランスでも大規模な汚職事件が発覚してアラン・ジュペ首相が辞任して以来、左派が盛り返している状況であるし、スペインでも10年前には銀行家や警視総監や政府首脳を含む一大汚職が発覚しているし、イスラエルでもシャロン首相がギリシャのリゾート地買収に絡む汚職が糾弾されているし、イタリアでは92年司法界による「清潔の手」作戦によって一度は浄化が図られたかに見えた政界が再び腐敗が始まりつつあり、現チャンピ大統領〈元イタリア中銀総裁〉への期待が高まっているし、もう挙げればきりが無い程の政界汚染状況なのである。
 中でも前述のインドネシアの汚職は世界一であるとの悪名が高いのも有名な話である。インドネシアの8割近い国民は、賄賂と汚職こそが第一に撲滅されなければならない国の病だという意見を持っているのであり、裏を返せばこの国ではそれらが避け難く、既に常識化しているところが又、恐ろしいのである。
 ご存知かも知れないが、インドネシア政府とビジネスをするには「KKN」(インドネシア語発音で“カーカーエヌ”)のキーワードを熟知していなくてはいけないのである。「KKN」は、Korupsi:汚職、Kolusi:癒着、Nepotisme:縁故主義の略であり、権力を持った者たちが権力を盾に公金横領などの汚職を働き、内外財界人らと癒着し私服を肥やし、その一族をはじめ近親者や同僚、部下らを重用し、特権や利権を与え、財産と地位を形成させる体質の事を指すのである。嗚呼、なんという腐敗、なんという堕落なのであろうか。きっとインドネシアのテレビ番組で「必殺仕置き人」とか「桃太郎侍」とか「遠山の金さん」なんて放映したら、大変なヒットとなる事請け合いなのである。同国では1945年8月の独立以来、国民による大統領選出は厳しく制限され続けてきたのであるが、1999年、一般国民の投票が漸く認められた結果、選挙に圧勝したのは“インテリ将軍”として名高いスシロ・バンバン・ユドヨノ前調整相なのである。メガワティ前大統領は勝利どころか、接戦にも持ち込めぬまま、約3年半に及ぶ“女王”の座から退陣する事になったのである。インドネシア国民が示したユドヨノ氏への期待は、いやが上にも高まっている状況である。大津波にも見舞われ、政治・経済共に大変な時期であるが、そこをひとつ、何卒頑張って欲しいユドヨノ大統領なのである。

 いやはや、書けばきりが無い程どこのお国も似たりよったりの状況なのであり、叩けばほこりが出まくる先生達で世の中溢れかえっている訳なのである。いちいち例を挙げて行けばきりが無い事に気付いたむかでは、一気に汚職の世界ランキングをご披露する事にしたのである。
 世の中には本当に奇特な団体もある訳で、なんと世界中の汚職を常時監視している国際民間団体があるのである。名前はトランスペアレンシー・インターナショナル(Transparency International:TI)と言って、各国の汚職の状況やら、贈収賄の実態やらを調べて、毎年全世界ランキングを発表してるのである。
彼らの発表する指数の内、CPIと呼ばれるものは、フリーダム・ハウス(Freedom House)、世界銀行など12の国際機関が、賄賂の受け渡しの程度や外国企業のビジネス環境、政治家や公務員の汚職、輸出入の通関の際の不法な金品の要求といった項目について、各国の国民や企業家、経済アナリストを対象に行ったアンケート調査の結果を総合・分析したもので、最もクリーンな国を10点として指標を付けているのである。従ってCPIの順位や指数は低いほど汚職の程度が深刻な国と言う事になる。その団体が最近発表した「2004年度汚職・腐敗度指数(CPI)」によると、一番汚職の少ないクリーンな国はフィンランドで、10点満点中9.7点で、2年連続で世界でもっともクリーンな国に挙げられたのである。調査対象の133カ国のうち、フィンランドに続いてニュージーランドが2位、デンマークとアイルランドが同率3位であった。全般的に言える事はヨーロッパ諸国のクリーン度が比較的高いという事である。アジアではシンガポールが5位と健闘しつつも、日本は24位、台湾で35位、中国に至っては71位なのである。そして昨年の調査で最も腐敗した国家に挙げられたのはバングラデシュとハイチだったのである。まぁ、国の名前と順位を見るに、さもありなん、と思えるのは私だけであろうか。
 ところで、ご当地アメリカはと言えば、17位に位置づけられており、日本の汚染度よりも低い理由はやはり、金銭関係のスキャンダルに対する公私団体からの厳しい監視の目の違いではないかと思う次第である。

 いかがだったであろうか。これで日本は女性問題に厳しく、金銭授受には滅法甘い国だと言う事が分かったし、アジア諸国は総じてまだまだ政治のクリーン度が低い未発達状況にある事も分かったし、ご当地アメリカは日本に比べてまだ汚職度が低く、ましな国だと言う事もお分かり頂けたかと思うのである。
 本稿にご意見・ご要望がある方は是非ご一報願いたいのである。ご意見を寄せて頂いた方には漏れなく謝礼を差し上げたいところなのであるが、むかでも今から身奇麗にしておかないといつ何時出馬の要請が来るやも知れないし、在米日本人のむかでが不正を行った場合には、日米両方のCPI指数を下げる結果にも繋がりかねないので、金品の受け渡しは自粛する事にするのである。
(上記原稿は原文にほぼ忠実ですが、紙面の構成上、一部削除して数回に分け、校正、編集したものを発行)
*原文はむかでのすきっぷ本舗/アメリカナイズ(18)へ*
http://www.geocities.jp/cybermukade/mukade0450.html
2006年6月16日号(vol.124)掲載
by tocotoco_ny | 2006-06-15 12:20 | ご無沙汰むかで
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