娘が絨毯の上で小便をたれた。アンモニア臭がきつい。ベーキングソーダを撒いた後、「アンモニア
消臭」でググる。そしたら、あるある。ほとんどが、お年寄りの失禁(の始末)対策。アンモニアのアルカリ性を中和させるといいということで、酢、レモン汁などが効果的とか。 本題。足掛け2年水面下で敢行してきた私的プロジェクトが、最終段階に入ったので、方々に近況として報告したら、ある人から「実は私も同じことを考えている。けどなかなか不安で踏み出せない。だから先輩としていろいろ教えて。」と言われた。悪い気はしない。 いろいろと話を聞いたり、経験談を提供したりしていたのだが、彼女からの質問に、だんだんと「参考までに」からはみ出て、「詮索」とも取れるものが混じるようになってきた。経験者にしてみれば、ケースバイケースとしか言いようが無く、他人のデータをとっても(とくに一人だけに聞いても)意味が無いというようなことまで、不遠慮に聞いてくるのである。私は「だいたいこんな感じだったけど、そこは、参考になると思えないから答えない」と、誠意ある対応をしているのだが、それよりもなによりも、どーでもよいことまで、一切合切とにかく教えてという姿勢から、彼女が今、余裕も自身も自信も見通しも全く無い状態ということが、見てとれる。 普通、何かを始めよう仕掛けようという人は、自分で動き回って、自分なりのビジョンや仮説を立て、思いつく限りの場面を想定し検証し、計画を練り直し(あるいは見切り発車し)、その上で、「ねね、こんな結論に至ったんだけど、どう思う?」という運びにすると思うんだが、彼女の場合は、自分で動くというメインが、欠落しているのである。唯一の収穫は、「誰々さんは、こう言ってた」くらいである。 先日、彼女のお宅にお邪魔した。部屋に入って私がまず感じたことは、「あ、この人、今は、何ら新しいことを始める心の準備は出来てないな」。知人からもらったが、何年もツン読用になっている本。眠っているCD。何年も着ていない服。整理されていない膨大な量の写真。私の中では、それらの物の山は、先行きの不透明さを楽しむことが出来ずに、不安がって、とりあえず何でもカンでももらえる情報は、保険代わりにもらってしまっとくという現在の彼女の心理状態を象徴しているように見えた。割と綺麗に整頓されているのが、さらに踏ん切りのつかなさ(=今にしがみつきたい気持ち)を強調しているようで、こっちまで切ない。 人生の様々な転機を自分から仕掛け、したたかに行動したオンナを私は何人も見たが、そうしたオンナ達は皆、惜しげも無く物を捨てた。今の自分の足を引っ張る過去をばっさりと切り捨てるように。胆が座った瞬間、今日の自分を生かすもの以外の一切に対する執着が無くなるのだろう。私もそうであった。 あの訪問以来、私は彼女に前向きなアドバイスをするのを止めた。変化をおっかながって、頭かかえて、でも人の体験談は聞く分にはリスクフリーだから、いろいろと集めたくて、でもその情報を活かす土台が自分の中で全然出来てなくて、だから、人の体験談にもろに振り回されるか、あえて耳を塞ぐかのどっちかで…。そんな状態では、新しいレストランの開拓さえ出来ないと私は思う。 「今日ね、なんか知らないけど写真整理し出したら、止まんなくなっちゃってさ」、そう彼女が言う日が待ち遠しい。 (原文まま) *掲載号では、誤字、脱字は校正し、編集したものを発行* 2007年6月29日号(vol.147)掲載
by tocotoco_ny
| 2007-06-28 02:24
| オンナの舞台裏
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