話し言葉に横文字が増える(1)
ご当地に永年お住まいの方なら、英語と無縁で生活する事は殆ど不可能な訳であり、日本人同士でも、自ずと会話の中に英語が登場する機会がふえるのである。 かく言うむかでも、早や在米14年ともなり、上手・下手はともあれ、英語漬けの生活にもさほど違和感を感じなくなって来たのも事実である。ご当地で日本のN○Kあたりの大河ドラマを観ていると、言い回しが古過ぎて理解出来ず、ついつい英語のテロップ見て納得したりするのだが、だんだんそれに慣れて来ると、しまいには日本語を聞かずにテロップだけ見てる事すらある今日この頃である。逆に最近では、日本で使われる古式ゆかしい表現やら、その場にフィットした、気の利いた比喩などがすっと出て来なくなり、苦労する事も度々である。横文字の場合には、言ってみれば日本語の平仮名やカタカナみたいな表音文字であるからして、わざわざ漢字で書くよりもスペリング的にも楽な訳で、書き順だって間違えようが無いという単純さがあるのも確かである。日本に帰国した時などは、変に英語が混じった表現を使わないようにしようね、などと気を遣い過ぎた挙句、言葉は詰まるわ、考え込むわ、相手には変な日本語で意味伝わらないわで、なんだかとっても疲れるのである。これも又、アメリカナイズしちゃったかな、の一例となるのであろうか。 しかし、である。久し振りに日本に戻ってみると、実はそこは、既に横文字の宝庫である事に今更ながら気付くのである。 日本の娯楽の殿堂、パチンコ屋の名前迄、『xxxレジャー・センター』なんて書いてある始末だし、パチンコ台の名前だって『CRスーパー海物語』とか『CRスーパーわんわんパラダイス』とか英語まじりのがあって、むかで的には何がスーパーなのか、どのへんがパラダイスなのか、既に謎なのである。(因みにCRはカード・リーダーの事らしい)そんな分かり難いネーミングだから、志村けんが自分のキャラクターが出て来る『FEVER変なおじさん』で2万円も負けてしまうのである。 テレビのコマーシャルも然りである。コマーシャルの世界は、それこそ横文字のオン・パレードなのである。ごきぶり用殺虫剤の宣伝なんか、『コンバーット!』なんて叫んでるし、あれを聞いたらアーリントン墓地に眠ってるリトル・ジョンも、『隊長、今度の敵はコック・ローチっすか?!』なんて草葉の陰から聞いて来そうである。 民放のテレビ番組を見ていても、横文字はいたるところに見受けられるのであるが、例えばテレビの番組表を見ていると、『マジカルバナナ』なんていうのがあったりするのである。バナナもマジックも単体では意味は分かるが、一体マジカルなバナナって何なんだろうか。まさかバナナの皮剥くと鳩でも出て来る番組でもあるまいし、放送局の方も是非番組名は名が体を表すものにして頂きたい次第である。 日本人の場合には、外国から言葉を輸入して来て自前の言い回しに直してしまう事も多々あって、『あっ、これは夢の“コラボ”(=Collaboration)になりましたねー』なんてアナウンサーが平気で言っちゃてる訳である。このような短縮形は日本人はどうも大好きらしく、巷にも『マック』やら『デパガ』やら『ワンセグ』やら、枚挙に暇が無い程、“寸詰まり横文字“が氾濫してるのである。 マンションの名前も又然りである。コーポやテラスならどこに行ってもお見かけするし、兎小屋とか言われてる住宅事情にも関わらず、日本国土には宮殿(パレス)が溢れてるのも滑稽である。 車の名前も又、そうである。何で車の名前は自家用車から業務用トラック迄、揃いも揃って横文字なのか。むかでが知る限りにおいては、車の名前で漢字名が使われたのは、いすゞ自動車の飛鳥(ASUKA)だけだったのではないだろうか。 又、歌の内容然りである。井上陽水先生の『いっそセレナーデ』なんて、むかでの十八番ではあるものの、未だに意味が分からないで歌ってるのであって、浜崎あゆみ先生の場合には、歌詞には英語を使わない事を宣言されておられるにも関わらず、何故か題名は『RAINBOW』とか『Voyage』だったりして首尾一貫してないのである。そして極めつけはやはり、桑田佳祐先生のお歌である。『Ya Ya あの時を忘れない』の歌詞に至っては、♪Sugar、Sugar、ya ya、petit choux ... pleasure、pleasure、la la、voulez vouz ...♪と来る訳であって、petit choux(プティ シュ) と voulez vous(ヴレヴ)はフランス語であるが、それ以外は英語という“ハイブリッド型意味不明フレーズ”になってるのである。お次に歌手名の場合には、2名以上の団体様になると、殆んどが横文字名になるのはどういう訳なのか。SMAP然り、EXILE然り、GLAY然りである。その中でBump Of Chikenとかいうのも居るのであるが、Chiken Bumpなら『鳥肌』で意味が分かるけど、Bumpが先だと意味が良く分からないし、彼等の曲の『Shadow』などは、歌詞に『毎日がeveryday 昨日までのyesterday』というのが出て来るのである。これは正直、あったりまえだべさ、と思ってしまうのは私だけだろうか。それならまだ、柏原よしえ先生の『毎日がバレンタイン』の方が小生的には理解出来るのである。 (原文まま) *掲載号では、誤字、脱字は校正し、編集したものを発行* 2008年8月15日号(vol.172)掲載
by tocotoco_ny
| 2008-08-12 02:03
| ご無沙汰むかで
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