カテゴリ:2007年1〜12月号( 26 )

vol.158/表紙「原田洋二郎」

アメリカで知る人ぞ知る日本人「原田洋二郎」
●ここ最近「アメリカで最も有名な日本人」として日本の各メディアで紹介されているのは、NBC局の大ヒットドラマ「HEROES」のヒロ・ナカムラ役でお馴染みのマシ・オカこと岡政偉(おか・まさより/32=写真右)であることに異論はナイ。f0055491_6163645.jpgしかし何ゆえ、今頃になって彼が取り上げられているんだろう?と、首を傾げている在米日本人も多いことだろう。同ドラマは昨年の大ヒット作で、昨年初めからNBC局のTV番宣でもマンハッタンのド真ん中で「ヤッタア〜!」と叫ぶヘンな日本人役の彼がひっきりなしに登場していたし、昨年はジェイ・レノのトークショーを始め、コナン・オブライアンなど(同列局の番組ばかりだが)、軒並みテレビに出演して、妙な日本語(ドラマでのヒロ役)がウケていたのは事実だ。当初、彼がメディアで取り上げられる以前は、顔カタチから判断して「きっとコリアン・アメリカンなんだろうな…」と思っていたが、ゴールデングローブ賞やエミー賞などの助演男優賞にノミネートされるにあたり、彼が未だに日本国籍を持つ日本人であることも明らかになって「へえ〜、ホンモノの日本人なんだあ」と思い改めてドラマを見たりしていたのは昨年のこと。すっかり彼のブームも去り、特に取り上げられることもなくなり落ち着いた今秋になって、今さら的な「アメリカで最も有名な日本人」の日本の報道である。
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「何で今頃?」さて、このカラクリは、今秋10月から日本の「スーパー!ドラマTV」(海外ドラマ専門局)で同「HEROES/シリーズ1」が放送されるためのマエ宣伝であった。そのためジャパンプレミアと題してマシ・オカが来日して記者会見を行うなど、彼の凱旋帰国に日本の各メディアが「アメリカで最も…」と鳴り物入りで大きく取り上げたからに他ならない。すべては仕組まれた番組宣伝の一環であった。しかし、その場限りの日本のメディアとは異なり、シーズン2の現在もなお、アメリカでの彼の評価は高く、今後もかなり期待できる日本人俳優であることに変わりはない。
 さて、オタク的な見方を得意とするtocotocoでは、誰もが知ってる(認める)「アメリカで最も…」という日本人ではなく「アメリカで知る人ぞ知る日本人」を紹介しよう。現在、ディスカバリー・チャンネルのネットワークのTLC局で人気のあるリアリティ番組「MIAMI INK」のヨージこと原田洋二郎(34/写真左)である。f0055491_6185079.jpg同局のINKシリーズは「LA INK」に始まり、現在放送しているのは「MIAMI INK」(毎週火曜夜10時=写真右上)「LONDON INK」(毎週火曜夜8時=同下)と、海を越えてイギリスまで展開するに至るほどのチカラの入れようだ。「INK」とは文字通りTATTOO(入れ墨)の事であり、番組内容は主にタトゥを彫るスタッフに焦点が当たっているが、客とのコミュニケーションを通じて図案が出来上がり、肌に彫り進んでいく経過が全て見られるドキュメンタリー・ドラマでもある。ヨージは同店の見習い中、日本人タトゥアーティストとして出演しているのだが、作業してる映像は今のこころ皆無だ。しかし、なかなか出番も多くて彼のエピソードも盛り込まれ、番組に欠けてはならない存在になりつつある。
 数少ないデータから調べたところ、彼は1973年、東京生まれ(ホームタウンは横浜とある)の日本人で、95年、22歳の時、観光ビザでシカゴに入国し、翌96年、ボニー・ミンクス(Bonnie Minkus)さんと結婚。そして婚姻によって多分、永住権を手にしたということなのだろう。98年までの3年間はシカゴ在住で、それ以降、ニューヨーク(ブルックリン・グリーンポイント)に渡り住み着いている。ニューヨークではイーストビレッジにあるナイトスポット「Barmacy」(231 E. 14th St.)やビューティーサロン「Beauty Bar」(538 E. 14th St.)で働き、2003年にはミンクスさんと離婚。2年後の05年にはブリジット(Bridgette)さんと再婚し、現在、2人の間に1人娘のシドニー(Sydney)ちゃんがいるという。
 そんな彼が、何故どうやってマイアミへと移り住んだのかなどの記載は、どこにも見当たらない。彼はタトゥ・アーティスト修行の身の他に、ミュージシャンでもあるらしく「Big Deal」と呼ばれるパンクバンドのギターリストであるとの情報のほか、TLC局「MIAMI INK」のQ&Aコーナーでは「Blood Stain Kings」というバンドに所属しているとも打ち明けている。但し、同サイトで紹介されているバンドのリンク先(BloodStainKings.com)へはNOT FOUNDで飛べない。さて、彼の入れ墨経歴は、19歳の時に初めて自分のガールフレンド(日本人)の名前を彫ったのがきっかけらしく、その後、この世界に魅せられ次々と彫ったということだろうと思う。まだまだ修行の身の上である彼だが、マイアミ・インクのリーダー、ジェームス(Ami James)を始め店の仲間たちは、こんな日本人ルーキーを温かく迎え、見守り育てていくホノボノとした様が番組からも伺える。
 そもそもINK(TATTOO)番組は2005年夏にA&E局がラスベガスにある「Hart & Huntington Tattoo Company」というタトゥ専門店をフューチャーした番組「INKED」が初めであり、模倣的に始まったTLC局の「LA INK」は二番煎じに終わるかと思いきや、ヨージが出演する「MIAMI INK」はシリーズ2を終え、目下ファイナルを放送中という人気ぶりである。それだけ、この国で「いかにTATTOOに需要があるか」といったことの裏付けでもあるかのようだ。実際、メキメキと目にみえて「入れ墨モノ」は一般でも俄然多くなった。余談ではあるが、日本の銭湯やゴルフ場のバスルームなどにも未だ「刺青者お断り」の但書きが貼ってあるのだろうか?ご当地の日本でさえ、今や普通のギャルズにまで蔓延している刺青。万一、まだ残っているとして、これら水戸黄門の印籠的貼紙は今後、何年くらい効果があるのだろうか?
f0055491_6205356.jpgこの「LA INK」はロサンゼルスのウエストハリウッドに実在する「High Voltage Tattoo/写真左」という店でのエピソードで、メキシカン・アメリカンの女性タトゥアーティスト、キャサリン(Kat Von D)がメインだ。ヨージが勤める「MIAMI INK」はフロリダ州マイアミビーチにある「305 Ink」という店で、土地柄、ビキニギャルズが押し掛け、中にはビキニコンテストの審査員をリーダーやスタッフたちが務めるといった、かなりローカル色の強い番組仕立て。f0055491_622212.jpgどの店もそうだが、男女を問わず顧客の要望には「日本的な○○を入れて…」というものが多い。日本的なコイ(鯉)、日本的なドラゴン(龍)、日本的なハナ(花/サクラやウメ)といった感じなんだが、図画のウマイヘタは置いておくとしても、もういい加減マスターして欲しいのが漢字だ。これだけコンピュータのソフト類も発達して、漢字フォントを手に入れるのも決して困難ではない状況にあって、未だ情けない漢字(写真右)をコピーして、堂々と顧客に彫り「日本的タトゥ図案専門アーティスト」として君臨している技術者もドッコイ多いのが現状だ。f0055491_624244.jpgしかし、この日本風でも結構、勉強して日本の入れ墨のみにこだわらず、着物の図案などにも着目し、日々腕を上げている技能者(女性)がいるのがロンドンのマンチェスターにある「LONDON INK」だ。この店の自慢は、かのデビット・ベッカム(David Beckham)のタトゥ(背中/guardian angel tattoo)を彫ったカリスマ的アーティスト、ルイス(Louis Molloy=写真左)率いる集団で、スッキリとした容貌もさることながら、スタッフのダン(Dan Gold)がかけている数々のメガネアイテムからも、かなりセンスのいいアーティストたちとも言えそうだ。ちなみに、もし自分がこの3店舗から選んで入れる(彫る)とならばロンドンまで渡るだろう。
 まあ、今はそんな予定もナイが、タトゥを入れる気がなくても見逃せないのが来週12月18日(火)午後8時から同局で放送される「Battle of the INKS」だ。この「LA INK」「MIAMI INK」「LONDON INK」の3店舗が、腕を競ってタトゥバトルを繰り広げるというから、ひょっとすると超クールな作品が見られるかも知れない。もし、近々彫る予定のある人には必見番組といえそうだ。

今回の特集記事に関するインフォメーション
f0055491_6293482.jpg●TLC局の「MIAMI INK」のオフィシャルサイト。同サイトではマイアミ・インクのオリジナルDVDボックス(シリーズ1&2=写真右)ほか、Tシャツやバッグなども販売されているので興味のある人はチェック!
●原田洋二郎のマイスペース・ページYoji @ My Space
f0055491_6261533.jpg●「LONDON INK」のダン・ゴールド(写真左)のマイスペース・ページ。Dan @ My Spaceこのサイトからロンドン・インクのアドレスなども分かる(マイアミやLA店と違って、ロンドン・インクは一切、他では店名やアドレスなどの詳細は明らかにされていない)ので同店を訪れたい人は要チェック!

2007年12月14日号(vol.158)掲載
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by tocotoco_ny | 2007-12-15 06:31 | 2007年1〜12月号

vol.157/表紙「2007 GIFTS」

早朝4時から開店させるド根性「ブラックフライデー」の在り方
■サンクスギビングデー翌日の23日金曜日、通称「ブラックフライデー」から始まったクリスマス商戦。この日だけでアメリカの年間小売り売上高の4分の1を占めるだけに「景気の試金石」と言われている。日本人には、まだあまり知られていないかも知れない「ブラックフライデー」は、大手デパートや量販店などが一斉に朝8時からオープンし、バーゲン商品を目当てに徹夜組続出は当たり前で、押し掛けてケガ人が出るほどの熱狂ぶり。その中でも今年、大手量販店の「KOHL'S」は、なんと早朝(深夜)4時からオープンさせ、他店を出し抜く作戦に出た。こうなって来ると来年あたり、全体的にもっと早く開店させる店が増えそうな気配だ。そしてここ数年前から言われ始めたのが「サイバーマンデー」だ。このブラックフライデーを含む週末明けの翌月曜日をそう呼んでいる。この月曜日はインターネットを通じてバーゲン商品を購入する人々を指しており、大抵はこの時期、送料が無料になったりインターネットでのみ買える商品を特別に提供するといったサービスぶりだ。そんなワケで今回の特集はインターネットで手軽に購入できるtocotocoイチオシギフト商品。友人へのギフトに、もちろん自分へのプレゼントにもお勧めの逸品ぞろいなので、チェック(クリック)は必須! この厳しい寒さの中、早朝から何時間もデパートの店先に並んで開店を待つより余程効率的、経済的であると判断する人の数も増加傾向にあるハズ。また「ブラックフライデー」「サイバーマンデー」に期待するのは消費者だけではない。フタを開けてみれば初日の金曜こそ「前年比8.3%増」と好調だった歳末商戦だが、消費者がより値引き商品に流れたことから楽観的な見方は次第に遠のき、メーシーズなど小売り大手の株価も軒並み下落したらしい。FRB(連邦準備制度理事会)の目下の悩みの種である「ドル安」続きで景気後退感が強い株式市況では、投資家たちの期待も後退。先行指標である肝心要のクリスマス商戦も現状では伸び悩みとなっているとか。
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■Blow Energy Drink Mix $3.00(送料&税金別) www.iloveblow.com
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f0055491_1634784.jpg★もちろん合法とは言え、どんどん過激になって来るアメリカの「エナジードリンク」事情。カフェインを多く含み、成長過程にある若年層には悪影響を及ぼすと問題となっているその中味(成分)だが、今やその中味より、名称(商品名)やカタチ、飲用法にこだわる商品が出回り「超クール」とティーン間で爆発的にウケている。このエナジードリンクミックスはドラッグのコケインをマネた摂取(飲用)方法で、結晶状になっているドリンクミックスをカミソリやカードなどで細かく砕いて水に溶かして飲むタイプ。ニュース番組でも取り上げられ、このドリンクにハマっているティーンを持つ親たちが「ドラッグを助長する恐るべき商品」と怒りを露にして販売停止を訴えている。しかし、中味は普通のエナジードリンクに変わりはない。マイスペース(www.myspace.com)にも同商品を紹介するオフィシャルサイトがあるので、興味のある人はログインしてそちらもチェック!

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■Brethe Air Revitalizer $59.99(送料&税金別) www.brethe.tv
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f0055491_16345222.jpg★様々な空気洗浄機が出回る中、トレンドは「水の浄化作用を利用したもの」が主流だ。日本でもタレントの神田うのが結婚式の引き出物に選んだという「マジックボール」(税込3万9800円)が通販などで販売されているが、ここ最近、アメリカのTVで頻繁に宣伝しているのがHoMedics社の「ブレス」だ。同社はスパに関する商品のオーソリティとして知られるが現在、同商品に最も力を入れているようだ。日本のモノと比べて性能がどれだけ違うのか分からないが値段は約6分の1と格安だ。付属品のソリューション(バニラ、シトラス、ライム)もついて、バクテリアなどの菌を99%殺し、タバコやペットなどの気になるニオイも消臭してくれるとのことだ。ちょっと余談で恐縮ではあるが先週初めて、この夏ニューヨークにできた大型韓国式スパ「Inspa World」(クイーンズ区/地下鉄⑦ラインの終点フラッシング駅から送迎無料バンあり=入館料30ドル)まで友人に連れられて、朝早く通勤ラッシュでごった返すマンハッタン行きを横目に、それと逆行するガラガラの車両でノンキに車窓など眺めながら行って来た。で、この施設に2部屋ある「オンドル=床下暖房」(飽くまでもオンドルであって日本で流行った岩盤浴ではナイ)にも、小型ながらこの「水の空気清浄器」が壁に設えてあった。多分、韓国製だと思うが、コリアンサウナでありがちな「ニンニク臭いにおい」が余りしなかったのも、この空気清浄機による消臭効果の成せる技だったのかも知れない。またシンガポールのドクターとドイツの研究所で共同開発され、神田うのが選んだという「マジックボール」の商品は、楽天のキッチン・日用品雑貨・文具(event.rakuten.co.jp)で紹介されているのでそちらをチェック!

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■Giovanni's Roll Out Keyboard $89.85(送料&税金別) www.buythepiano.com
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f0055491_1635355.jpg★大人には少々物足りないかも知れないが、狭いアパート暮らしでピアノを欲しがる子供に、2つ返事で即買い与えられない住宅事情及び台所事情は、世の東西を問わないハズ。どうせ最初の1か月だけと知りつつも、ピアノを強請る子供は昔も今も後を絶たない。電子オルガンやシンセサイザー、キーボードなどの電子タイプが出回ってから数10年経つが、スタンダードサイズの鍵盤が折り畳み式になっているというのはなかなかメイクセンスと言えるだろう。幼い頃、多少齧ったという経験を持つ大人も昔を偲んで、またイチから始めるのにも手頃なサイズだ。200タイプの楽器(打楽器含む)の音やリズムが組み込まれ自由に変換も可能。広告塔となっているジョバンニのCD付きで、10種類の練習曲をマスターすれば、初心者でも簡単にピアノが弾けるようになるとか。もちろんオリジナル曲の録音も可能で、ボーナスでもれなく付いてくるヘッドホーンとカラオケ用のマイクを使えば、気分はシンガーソングライター?

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■Womens Snowblazer Boots $176.00(送料&税金別) www.edhardyshop.com
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f0055491_16361741.jpg★西海岸で徐々に人気が出だして早6年。日本でもお馴染みになってきたエド・ハーディーがNYに2店舗展開した矢先、この秋マイアミにもオープンさせる程の好調ぶりだ。得意のタトゥ絵柄で代表されるように、日本の影響を随分受けているブランドのデザイナーChristian Audigierは、結構年配だがチョイイケのオヤジと言ったところか。セレブの間で持てはやされ旬のスターなら1アイテムは持っている(多分、無料で提供されている?)だろう。f0055491_1637112.jpg同ブランドのサイトにはCNNの看板オヤジ、ラリー・キングから今を時めくSouljaBoy(写真左)まで老若男女を取り混ぜて数えきれない程のスターたちが掲載されている。因にソルジャーボーイが着ているTシャツは「Mens Short Sleeve XXXL Tee, Tiger-White」で価格は$80.00。同ブランドがそのバリエーションの数で誇る帽子は、最も手を出し易いアイテムで$39.00〜$121.00。ご自慢のタトゥ図案はどれもあまり変わり生えしない気もするが……。同ブランドを着せられた(?)様々なセレブたちの画像を紹介しているだけのオフィシャルサイト(www.donedhardy.com)もチェックしてみて!
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■Smooth Jazz CD $13.98(送料&税金別) store.weather.com
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f0055491_16375277.jpg★気象案内・天気予報の専門ケーブル局「The Weather Channel」に毎朝お世話になっている人も多いかも知れない。f0055491_16382482.jpgお馴染みの味も素っ気もない単なる24時間の天気予報番組だが、番組中バックに静かに流れるスムースジャズが密かに人気を呼び、同局は先月オリジナルCD「Smooth Jazz」を発売した。というのも、視聴者から使用曲の問い合わせが相次ぎ、それらのリクエストに応えるため、近年は「曲名リスト」まで作成していたという。約25年前の開局当時はその日の担当の予報社員が自宅から持ち込んだレコードを上手く選曲して番組で使用していたらしいが、今回発売されたCDは視聴者からのリクエストが多かったものを中心に選曲し、大半はイージーリスニング。現在ビルボード誌のコンテンポラリー・ジャズ・チャートで第2位をキープしている。同局ではCDの他にアラーム時計や来年のカレンダー(写真左/$9.99)なども販売中だ。

2007年11月30日号(vol.157)掲載
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by tocotoco_ny | 2007-11-29 16:39 | 2007年1〜12月号

vol.156/表紙「Lunchboxes Auction」

bidding starts December 6, 2007
created by artists, actors, chefs, musicians, photographers, politicians and fashion designers
■ニューヨークには言わずと知れた「クリスティーズ(Christie's)」や「サザビーズ(Sotheby's)」といった競売会社(オークションハウス)がある。一般でも手続きさえすれば参加できるが、出展される数々の美術品のケタ外れな落札額は、常にニュース番組をにぎわせているのも周知の通りだ。f0055491_11503950.jpg97年秋、世に「eBay」がインターネット上に出現してから、全くの素人でも簡単にオークションに参加し「モノを落札する」という喜びを味わうことが可能となった。あれから10年、eBayは世界28か国に拠点を広げ、出品点数10数億という巨大な競売会社となった。ゲーム感覚の「インターネットオークション」は世界中に浸透し、今や入札を躊躇する人も少ない。
 最近はその中ででもセレブたちの所持品を扱ってチャリティー形式のオークションを開催する団体も目立って来た。今回の「Lunchboxes Auction」もその1つで、前回05年に開催し、好評につき2回目の開催となった。前回の出店者にはビル・クリントン元大統領を始めデビット・ボーイ、ボノ、P.ディディ、アリシア・キース、マリオ・バターリ、森本正治、ボビー・フレイ、ナオミ・キャンベル、ケイト・スペードなど、政治家からミュージシャン、シェフ、モデル、デザイナー、俳優たちが名を連ね、各々好きに描いた(コラージュした)ランチボックスが競売にかけられた。現時点(11月14日)では今回の出店者やスタート入札額など、詳細は明かされておらず値がいくらに跳ね上がるのかも分からないが、12月6日(木)からインターネット上で競売にかけられる。これらのチャリーティーオークションで集まった売上金はすべて「FOOD BANK FOR NEW YORK CITY」およびサウスアフリカの子供たちの食糧飢饉を救う「THE LUNCHBOX FUND」への基金となる。
 またセレブのチャリティーオークションで、かなり有名な「CHARITY FOLKS」では、よくTV番組やニュースなどでも取り上げられる「セレブとのパワーランチ」を扱っている。f0055491_1151464.jpg参加する俳優によって、もちろん価格は異なるが、その人物のファンにとっては「夢の時間」の権利が買えるとあって、入札額は500ドル刻みで加算される場合が多い。現在同サイトで扱われているスターとのひととき「Hollywood Set Visits」には、映画「ブロークバック・マウンテン」でブレイクしたイケメン俳優ジェイク・ジレンホール(Jake Gyllenhaal=写真右)と、一緒にランチを楽しみ、彼が出演予定の次回作の撮影現場にも訪れることができる権利が競売にかけられている。f0055491_11531783.jpgスタート価格は500ドルで、14日(水)時点の価格は5500ドル。入札者はたった1人(いきなり5000ドルをBid)で、次の入札者は5500ドルからとなっている(16日金曜、東海岸時間の午後6時終了)。同じ日に競売が終了する「セレブとの貴重な時間」には、先月公開になった映画「The Heartbreak Kid」もそこそこ好調なベン・ステイラー(Ben Stiller=同左)の案内で、彼の次回作の撮影現場が覗ける商品。スタート価格は100ドルで、現在7人が入札し、2200ドルを記録中だ。これらの商品へのリーチは同サイトの「Auctions」からカテゴリーで「Hollywood」を選び「Hollywood Experiences」に入れば見つかる。
 同じように「Auctions」→「By Category」→「Clothing & Accessories」→「Celebrity Worn & Singed」の順で入れば、各スターのサイン入り商品が売られており100ドル前後でゲットできる商品も多く、夢のアイテムでもナイようだ。現在、このカテゴリーで売られている商品には、ヒップホップスターのバウワウ(Bow Wow=同左)が特別にデコレートした「All-Star Converse Sneakers」が100ドルで出店されている。サイズは女性用8.5で、20日(火)の午後6時(東海岸時間)に終了する。また全く同じシューズで、同じヒップホップスターのオマリオン(Omarion=同右)バージョンも出店され、こちらは現在、バウワウよりも40ドル安めの60ドルで入札可能だ。f0055491_11542316.jpg

Jay Lenoのホットなコーナー「stuff we found on ebay」
■ナイトショーでお馴染み「The Tonight Show with Jay Leno」(NBC局/毎夜午後11時35分〜)で、つい最近、視聴者に笑いを誘っているのが「stuff we found on ebay」だ。これは、eBayで出店された風変わりな(或はバカらしい)アイテムを紹介し、一体、この珍品に何人が入札した(または落札されなかった)かを調べて報告するコーナーで、中にはセレブに関わる馬鹿げたアイテムもあるが、夜の番組の性質上(?)、性的かつ笑える珍品の数々が揃う。
 今月1日に同コーナーで紹介されたアイテムには、ブリットニー・スピアーズが自らが運転する車で、パパラッチを振り切って逃げる時、そのパパラッチの1人の足を、タイヤで踏み付けた(ちょっと接触したというか、車を止めるためにパパラッチがタイヤの下にワザと足を潜らせた感アリ)際に付いた汚れ(タイヤ痕)を含む靴下1足「TMZ SOCK WORN BY REPORTER RUN OVER BY BRITNEY SPEARS=写真左」が585ドルで落札されたというモノから、24.99ドルで落札されたという「STAR WARS C-3PO X-RATED ERROR CARD」など。f0055491_11554310.jpgこのエラーカードの「笑い」である「X-RATED」というのはC-3POの男性の急所(股間)がエレクトしている画像で、まあ、言うなればフォトショップなどのソフトを使って簡単に画像処理できるシロモノには違いないのだが、それがちゃんと印刷(カラープリンター程度の出力かも知れないが…)され、スターウォーズのロゴが配置されたパッケージに堂々と入って出店されている。この他にも驚かされたモノに「UNUSUALLY LONG TOM'S CHEESE FRY」というのがあり、これはTom's Foods, Inc.から1袋99セント以下で市販されている通常のチップス「Tom's Chili Cheese Fries」の中に紛れた長い1本(約2倍の長さ)を競売にかけたモノ。これには34人もの入札者があり、スタート価格は99セントからで、最終落札価格は265ドルにも跳ね上がったオバケ商品だ。番組でジェイ・レノは「どんだけ、皆な、お腹を空かせてるんだい?」と大笑いしながら紹介した逸品。よく袋詰めのお菓子類には変形というか、出来損ないの1個が入っている場合が多々あるが、それを「オークションにかけたら…」という発想にまでは、なかなか結びつかない。その盲点がネットオークションの醍醐味、競売ゲームの基本であるかも知れない。さて、番組の同コーナーを見逃すまいと毎晩チェックしているのだが、毎週とも何曜日とも決まっていない様子で、いつ「stuff we found on ebay」がやってくるかは全く分からない。オタクな人なら、先にeBayでチェックして、同番組スタッフに成り変わり次回に紹介されるアイテムを予想しているかも——。

上記で紹介した「セレブのチャリティーオークション」へのアクセス
●俳優ジェイク・ジレンホールとのひととき「Join Jake Gyllenhaal for Lunch and a Visit to the Set of An Upcoming Film!
●俳優ベン・ステイラーとのひととき「Forget the Fockers - Meet Ben Stiller and Visit the Set of One of His Upcoming Films!
●ヒップホップスター、バウワウのスニーカー「Bow Wow Custom Decorated All-Star Converse Sneakers!
●ヒップホップスター、オマリオンのスニーカー「Omarion Custom Decorated All-Star Converse Sneakers!

f0055491_7532779.jpg上記セレブのチャリティーオークション結果
■俳優ジェイク・ジレンホールとのひととき=落札価格$20,000.00/入札件数21/出店者ACLU of Southern California(closed:11/16/2007 6:00:00 PM EST)
■俳優ベン・ステイラーとのひととき=落札価格$2,100.00/入札件数7/出店者ACLU of Southern California(closed:11/16/2007 6:00:00 PM EST)
■ヒップホップスター、バウワウのスニーカー=落札価格$190.00(メーカー市場小売価格$80.00)/入札件数15/出店者CosmoGIRL! Auction(closed:11/20/2007 6:00:00 PM EST)
■ヒップホップスター、オマリオンのスニーカー=落札価格$150.00(メーカー市場小売価格$80.00)/入札件数11/出店者CosmoGIRL! Auction(closed:11/20/2007 6:00:00 PM EST)

2007年11月16日号(vol.156)掲載
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by tocotoco_ny | 2007-11-14 11:57 | 2007年1〜12月号

vol.155/表紙「American Gangster」

What's wrong with America...
"116th St. bet. 7th & 8th Aves. was mine. I bought it. I ran it. I owned it..."
f0055491_6233575.jpg■「21世紀版アンタッチャブル」「21世紀版ゴッドファーザー」との呼び名も高い、リドリー・スコット(Ridley Scott)監督が手掛けた新作映画「American Gangster」が、いよいよ来週11月2日(日本では2008年1月下旬予定)公開される。先週の19日、ご当地ハーレムのアポロシアターでワールドプレミア上映され、各界の大御所が訪れるなど一層話題となって鳴り物入りで発表された映画だけに、アカデミー賞への期待、プレシャーも大きい。
 この映画のストーリーは、1970〜80年代にベトナムで戦死した兵士たちの棺の中にヘロインを詰めてアメリカに密輸し、ハーレムでヘロインを蔓延させた麻薬王、フランク・ルーカス(Frank Lucas=76)の人生を描いた作品だ。
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 そもそも同作品の原点は、ブルックリン在住のフリーライター、マーク・ジェーコブソン(Mark Jacobson=写真左上)が7年前、雑誌「ニューヨークマガジン」(2000年8月14日号)誌上で、このフランク・ルーカスの独占インタビュー記事「The Return of Superfly」(同右)を掲載したことに始まる。f0055491_6243011.jpgこの映画「American Gangster」は、制作会社のユニバーサル・スタジオ及びイマジン・エンターテインメントなどが同記事の権利を購入してクランクアップした作品である。去年夏、大々的にハーレムで撮影が行われ地元ニューヨークはもちろんのこと、全米のブラックコミュニティーから期待される1本で、絶対コケるワケにはいかない作品だ。もちろん原作、マーク・ジェーコブソンの原文記事は何とも興味深い(雑誌「ニューヨーク」の原文は以下のインフォメーション参照)。彼は元々、現在ではフリーペーパーとなっている新聞「ヴィレッジヴォイス(Village Voice)」に寄稿するフリーランサーの1人で、70年代に「チャイナタウンのゴースト・マフィアの影」を追いかけて記事にし、一躍ニューヨークで有名になったエディターで、現在も同紙面上で彼の名前を見つけることは可能だ。

Jay-Zが同名タイトルで11月6日新作をリリース
f0055491_6263859.jpg■さて、同映画制作を追っかけるようなカタチで、TVネットワークのBET局も独自の取材で番組「American Gangster」(毎週水曜日午後10時〜)をスタートさせ、現在、次々と興味深い内容の放送が始まっている。そのエピソード・ファイル10人の中には、もちろんフランク・ルーカスの話も含まれている。また映画には、同局で先週放映された「BET HIP HOP AWARDS」で「CD OF THE YEAR」「LYRICIST OF THE YEAR」の2冠に輝いたコモン(Common)がギャング役で出演している他、同アワードのイベント当日直前、おとり捜査で銃器違法所持のためアトランタで逮捕された(保釈は認められず現在も拘留中)T.I.も、ちょい役ながら出演するなど、現在のヒップホップシーンとダブらせてイメージさせる色も濃い。明らかに興行収入を意識してのことか、若い年齢層へのウケ狙いは否めない。現に同映画に自身の半生を重ねたジェイ・Z(Jay-Z)が11月6日、同名タイトルで新作をリリースする。既に同アルバムのリードシングルとなる「Blue Magic」は先日、BET局のトップ10番組「106 & Park Top 10 Live」でも放映されていた。何でもリンクして市場に出回る時代、当然ジェイ・Zのアルバムをサウンドトラックに起用する案もあったようだが、同映画の公式サウンドトラックは大方、過去のソウルアーティストの名曲のセレクト盤で構成されたため単独リリースとなったという。ジェイ・Zがインタビューで「この映画を見ると昔の自分が、ストリートでぎらぎらしていた頃のオレが脳裏に浮かぶんだ」と話しているが、彼に限らず、実際にアメリカンドリームを手にいれ、今、この国の原動力を牽引しているラッパーたちの多くが、同様に自身をこの映画に重ね、過去を思い出し、振り返っているのが今日のアメリカである——。

The king of drug [C21H23NO5]
■映画の題材ともなったヘロイン(heroin)についてだが、この単語こそ耳にしても実際、詳しく知らない人も多い。全くの余談ではあるが、よく「悲劇のヒロイン」などと称する時に使われる女の主人公(男の主人公はヒーロー)のスペルは、ヘロインにeを加えただけの「heroine」である。さて、問題のヘロインだが、その語源はドイツ語のheroisch(強い、英雄的の意)と言われ、アメリカではベトナム戦争で従軍していた帰還兵たちが本国に持ち帰って蔓延したと言われている。そもそもヘロインは、未熟なケシの実の表面に浅い傷をつけて白い樹液を出す工程を繰り返し(切り傷は1日に3本、隔日で1果当たり3~4回採取)、それらを集めて乾燥させて作った黒い粘土状の固形物、すなわち、これが「アヘン(阿片)」であり、その生アヘンを精製して化学的に合成したものがヘロインである。f0055491_630822.jpg
 英語でアヘンはオピウム(opium)と称され、語源は古代ギリシア語のopionで「汁(poppy juice)」を意味するという。このpoppy juiceの含有(薬効)成分の1つであるモルヒネ(morphine)が、ザ・キング・オブ・ドラッグとなるヘロインの根源である。
 1874年、イギリス人の薬剤師アルダー・ライト(Alder Wright)の手によって初めて化学的に合成(塩酸モルヒネを無水酢酸で処理して精製/分子式:C21H23NO5)され、ヘロインはこの世に生まれた。ドイツの製薬会社バイエル(Bayer)は1895年にヘロインの生産を開始し、3年後には咳止め薬として「ヘロイン」の商品名で一般市場に出回った。また当時、ヘロインはアヘン中毒患者の薬物依存を治す特効薬と信じられ、アメリカでは中毒患者に無料で配布されていたとも言われている。
 ヘロインが薬物の王者に輝くその理由は、人間が一生のうちに体感し得る「全ての快感の合計」をも上回る快感が、瞬時に味わえるというその「至福感」にある。もちろん、それと引替えに禁断症状も、他の何にも例えられない地獄そのもので、スラングでは「コールド・ターキー(Cold turkey)」と呼ばれている。ヘロインの通称は「スキャッグ(scag or skag)」「スマック(smack)」などが一般的だが、この映画で知った「ブルーマジック」という隠語を含め、その闇の呼び名は世界各国の数だけあり数えきれないだろう。今から約25年くらい前になるが、ヘロインで人生を破壊させた友人がいた。その彼はヘロインを「まゆげ」と呼んでいて、何故かを訊いたらヘロインの「ヘ」の字が眉毛に似ているからだと説明してくれたことをふと思い出す。これも大阪のある地域だけで通用した呼び名かも知れない。

Back in the early 70's, there were many "brands" of dope in Harlem.
But none sold like Frank Lucas's Blue Magic.

■70年代、「Blue Magic」と名付けられたヘロインをハーレムでバラ撒き、1日で1ミリオン以上を稼いだハスラーが、116丁目の8番街(現在のFrederick Douglass Blvd)の角に実在した。刑期70年を言い渡され(後に15年減刑)、今や80歳近くになるギャングスターことフランク・ルーカス役にデンゼル・ワシントン(Denzel Washington)、そのフランクを追う捜査官リッチー・ロバート(Richie Roberts)役にはラッセル・クロウ(Russell Crowe)が扮し、脚本は「シンドラーのリスト」「ミッション・インポッシブル」などのスティーブン・ザイリアン(Steven Zaillian)が手掛けた。監督には「ブレードランナー」「ハンニバル」などの巨匠、リドリー・スコットと、申し分ない1本に仕上がったハズだが……。さて、来年のアカデミー賞に輝く作品と成り得るのだろうか。上映時間:2時間37分/制作:ユニバーサル・スタジオ、イマジン・エンターテインメント/2007年11月2日全米公開
f0055491_6255186.jpg
インフォメーション
●映画「American Gangster」=americangangster.net
●BET/TV番組「American Gangster」=www.bet.com
●雑誌「New York」The Return of Superfly by Mark Jacobson(原文)=www.nymag.com

2007年10月26日号(vol.155)掲載
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by tocotoco_ny | 2007-10-26 06:31 | 2007年1〜12月号

vol.154/表紙「THE SUPER HEEB」

これが究極のベーグル「The Super HEEB」だっ。
Lower East Side "landmark for Jewish soul food"
f0055491_13394282.jpg■皆さんは、Heeb(ヒーブ)という言葉(単語)を耳にされたことがあるだろうか。私は今夏、雑誌「Time Out New York」で初めて目にした活字である。なんだろう?と思って、周りのアメリカ人に訊いてみたが、スペルを伝えても「う〜ん。よく分からないなあ」という返事が多く、認知度はかなり低いと予想される。さて、その答えだが、日本ではヘブライと呼ばれているヒブロ(Hebrew)を、今の若いジュイッシュの人たちは「HEEB」と、少しヒップな言い方をするようだ。どうりで、雑誌で目にした活字の添え写真が「ベーグル」だったのが理解できる。f0055491_13403569.jpgf0055491_13504236.jpg
 そのジュイッシュの独特の食べ物で、有名なメニューは数々あるが、やはり代表格は何と言ってもベーグル(Bagel)だろう。ベーグルとは、発酵させた小麦粉の生地を輪の形にして一旦茹で、その後、焼くという製法で作られるパンだが、クリームチーズやロックス(Lox=スモークサーモン)、トマト、タマネギなどを挟んで食べる「ベーグル・アンド・ロックス」が一般的に広まっているサンドウィッチ方法である。しかし、そのバリエーションたるや、驚くべき品数に膨れ上がり、今や留まることを知らない。ユダヤ人雑誌「HEEB magazine」(写真左)のフード特集で見事第2位に輝いたロス&ドータース(Russ & Daughters)の「スーパーヒーブ・サンドウィッチ」($9.45=同右)が顕著と言えるだろう。
f0055491_13435738.jpg ローワーイーストサイドのランドマークとして知られる同店(179 E. Houston St. NYC. bet. Allen & Orchard Sts./212-475-4880=同上)ご自慢のベーグルは、ニューヨークでもピカイチと称され、そのモチモチ感たるや、ホント半端じゃなく涙モノだ。そのベーグルをベースに、スモークしたホワイトフィッシュのサラダとワサビ飛び子(同左)、大根風味のクリームチーズが合体することで、ザ・究極のベーグル「The Super Heeb」が出来上がるワケだ。
●ワサビ飛び子
 日本ではチープな感じで敬遠されがちな飛び子だが、海を渡ると貴重なキャビアに変身する「Flying Fish Roe」である。その名の通り、このトビウオの卵に色んな味付けが施され、今や寿司屋に限らず、あらゆる所でお目にかかる一品で、ここアメリカでは、日本でも高級とされるイクラと堂々と肩を並べ、さもするとイクラより値が張る珍味として君臨中だ。これらの飛び子は業者じゃなくとも、一般家庭用にもAmazon.comの「グルメフード」セクションなどで簡単に手に入り(下記インフォメーション参照)、中でもワサビ味は「グリーン色に輝くキャビア=neon green caviar」として珍重されている。価格は1パウンド当たり$25〜$100と幅があるのだが、産地(カリブ、アメリカ、カナダ、台湾産など)によって異なるのかも知れない。大体100g当たり$10〜$15が目安と言えそうだが、お寿司の軍艦巻き1ケが25g程度なので、ベーグル1ケに挟むとなると、確実に40g以上(5、6ドル分)は必要となり、スーパーヒーブが10ドル近くするのも何となく頷ける。f0055491_13451114.jpg
●大根風味のピリ辛クリームチーズ
 ピリ辛好きの欧米人に漸く認知され始めた大根も今や立派にクリームチーズの1種類に仲間入りだ(同右上)。しかしその先輩株としてTOFU(豆腐)が鎮座しているのは言うまでもナイ。クリームチーズ畑でもプレーン豆腐、ネギ&豆腐、野菜&豆腐(同右下)と数種類のアレンジで群を抜いているのは確実だ。f0055491_13461735.jpg
 さて、スーパーヒーブを産み出した同店は常に馴染み客でごった返しているが、その応対ぶりは実に親切で、これもファミリービジネスの成せる技かと思いきや、カウンター越しから何やら日本語で「何にしましょうか?どれも美味しいよー」との声。NYの街角でありがちな光景なので、どうせ日本語会話もここまでだろうと適当にニコニコして頷いていると「日本人はヘリング(ニシンの酢漬け=HERRING)もよく買って行くんだよ、好きだよね」と、意に反して悠長な日本語会話が続く。訊いてみたら、バイト君として頑張っているデイヴィットさん(同左)は、在日歴7年で早稲田大卒というナイスガイだった。英語に自信のナイ人や観光客でも、老舗と謳われる同店で堂々と日本語で注文し、好きにアレンジしてHEEBを堪能することも可能だ。

ワサビ飛び子のインフォメーション(安価順/いづれも約500g当たりの価格)f0055491_13472527.jpg
●Bemka/$23.25=www.caviarlover.comwww.amazon.com

●Sushi Foods Co./$24.65=www.sushifoods.com

●The Fresh Lobster/$47.95=www.thefreshlobstercompany.com

●Russ & Daughters/$55.00=www.russanddaughters.com

●CAVIAR etc/$74.95=www.caviaretc.comwww.amazon.com

2007年10月12日号(vol.154)掲載
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by tocotoco_ny | 2007-10-09 13:48 | 2007年1〜12月号

vol.153/表紙「SAGGING PANTS」

'Pull 'em up or pay up.
どこまで広がる?「SAGGING PANTS」規制
■遂に、個人のファッションにまで規制が及んだアメリカ。今年6月、ルイジアナ州デルカンバーで「SAGGING PANTS=腰パン」禁止条例が施行されてから3か月経ったこの9月、続いて同州マンスフィールドでも同条例が開始された。「'Pull 'em up or pay up.」(ズボンを)引っぱり上げる?それとも(罰金を)支払う?をスローガンに、この余波はラッパーの聖地とも言える南部エリアへも拡大しつつあり、既にジョージア州アトランタでも導入が検討されている。f0055491_2532296.jpg
 このSAGGING PANTS禁止論が浮上した要因として「だんだん過激になり、下着どころか、尻まで露出する若者が増えた」「公然わいせつである」という声が上がってきたことにある。なるほど、最近のラッパーたちのスタイルも「腰パン」と呼べる様なナマ易しいスタイル(ズルっと軽く下げた感じ)ではなく、下着こそ着けているものの、尻部分は全て丸出し(太ももの付け根の位置にジーンズのウエスト部分が来る)状態にある。TVのミュージックアワード番組でも、彼らがジーンズの前部分(ジッパー部分)を抑えながら、後ろはパンツ(下着)丸出しで舞台を駆け回る映像が、堂々と全米ネットワークで映し出されているのが現状だ。同州では同条例を違反した者は最高で罰金500ドル、禁固6か月を伴う場合もあると定めている。
 同規制に対して当たり前過ぎるが、当然「黒人文化への不当差別」の声は上がった。規制対象となるのは黒人の若年層が大半だからだが、その一方、オバマ氏(大統領候補)の用な政治に関わるインテリ層の黒人からは賛成の意見が相次いでいるのも今の黒人社会である。事実、アトランタ市議会で、同条例をアトランタでも施行すべきと提案した市議4人はいずれも黒人であり、これらの問題を「人種差別」として取り上げて考えるのも、今や短絡的過ぎる課題である。
 そもそもSAGGING PANTSのルーツは、刑務所で事故防止を理由に、囚人たちに大きなサイズの囚人服をベルトなしで着用させていることに始まる。すなわち、このSAGGING PANTSスタイルは「ムショ帰り=箔が付く」の象徴で、それらをクールとする黒人間でブームとなり、さらにヒップホップ文化が盛んになった昨今、そのファッションは世界中に蔓延り、今や日本の若者の間でもジーンズをズルッとずらして下着を見せるに至っている。f0055491_254376.jpg
 私個人としては、このスタイルが良いか悪いかが問題ではなく、個人のファッションに規制が及ぶことに危機感を覚える。例えば、女性の服装に関して「胸の谷間が見えるスタイル」が、一部の都市で公然わいせつとして規制され始めるのと同じである。パンティ(下着)が見えそうなギリギリラインのミニスカートはどうだろう。とは言え、最近のギャルズ(ブリットニーなどアメリカのセレブたち)は、その下着をも身に着けないことがお約束(クール)らしいが……。昔では考えられなかったペラペラのキャミソール1枚で、ブラジャーの肩ヒモと2本、肩に並べて外出するのも時の流れ、「見せる下着」もトレンドのなせる技である。これらは個人的な趣味趣向の範囲ではあるが、確かに自分の嫌いなタイプの人がこれらのスタイルを取り入れていたら、はっきり「NO!」「勘弁してくれ〜」「見たくないっー」「公害だ!」のノリである。ボディが引き締まったナイスガイがズルッとジーンズを下げて腰骨から下の位置で履き、下着のパンツを見せていても気にはならないが、デブデブな族の白い半ケツ状態はおぞましく、見たくもない(写真左)。これが普通の人の心情だろう。f0055491_255826.jpg
 これら規制騒動の中で、最もバカらしいコメントは「腰パンは体に悪い」というドクターの意見を取り上げていたニュースだ。「腰骨の下の感覚神経を圧迫し続ける腰パンは体に悪い」と、如何にも警告するような口調だが、こんなコメントを起用し「体に悪いからやめましょう」といった括りにして、さも尤もらしくコトをお座なりに修めようとする局側の感覚を疑う。話は逸れるが、あるファッション業界のゲイの人の個人サイトで、同問題について「So which is it?Gay fashion design or macho"Gangsta"chic?」(ゲイファッションでいく?それともマッチョなギャングスターを選ぶ?)という下りで、2つのタイプの画像(写真右)を並べて掲載している人がいた。なるほど、ゲイの人は、タイトかつ美的に露出するファッションを好みがちである。写真右側にある(下着を身に付けていない)ファッショナブルなタイプが、それかどうかは分からないが、同コラムでは、初めにこの手のファッションパンツを手掛けたのはAlexander McQueen(アレキサンダー・マックィーン)で、90年代半ばに「bumster」の名前で発表していると書かれてあった。そして括りとして「いずれにしても、ファッションとは何かのアクシデントを産み出したり、常に注目されるモノなのである。だから私は作り続けたい」と結んでいた。これが作り手側の素直な意見であろう。
 70〜80年代は体形を強調するピチピチタイプ、そして2000年以降はダブダブなバギータイプ。すべてブラック・アーバン・カルチャーから産み出された流行であるが、白人、アジアン、ヒスパニックと人種を問わず「マネる」ことがクールに繋がるとしている今の世の中にあって、同規制が「人種差別」に当たるとか「カラダに悪い」といった方向性の違うところでいくら論議しても、全く無意味だと思わずにはいられない——。

2007年9月28日号(vol.153)掲載
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by tocotoco_ny | 2007-09-26 02:56 | 2007年1〜12月号

vol.152/表紙「Novak Đoković」

前代未聞のテニスプレーヤー出現
フェデラーを食い止められるのは彼しかいない
f0055491_442623.jpg■今、最も旬と言えば、Novak Đoković(ノバク・ジョコビッチ/セルビア)以外に見当たらない。グランドスラム初の決勝進出となった今年のUSオープンで、奇しくもロジャー・フェデラー(スイス)にあっさり倒れたものの、彼への期待感は全米のみならず世界中のテニスファンが抱いていただろう。正に今年は彼の大ブレークの年となり既に4タイトルを上げている。しかも8月13日、カナダで行われたロジャーズ・カップ2007では、ラファエル・ナダル(スペイン)そして決勝でフェデラーを撃破し優勝している。しかし、この人気のヒミツは「若くて強い」ことだけではない。彼のひょうきんな仕草やコメディアンばりのウィットに飛んだコメントほか有名テニスプレーヤーのモノマネの余興など、一気に会場を爆笑の渦に変えるその人柄がウケているのである。f0055491_4425186.jpg
 私がまず、彼のひょうきんさに気付いたのは5日夜に行われた4回戦、Juan Monaco(ファン・モナコ/アルゼンチン)との対戦時である。翌日にまで及んだ3時間53分もの大接戦で、何とか勝利した彼への勝者インタビューで、コメンテーターが早速「いやぁ〜、長かったですね。おめでとう!さて、感想を聞かせてください」とお決まりの質問。これには大抵どんな選手も、お決まりの優等生的なコメントで応えるのが常である。90%の選手はこんな場合、相手の選手を称え、次の試合に向けての意気込みを簡単に伝える、といった程度だ。また誰もこの手の応答に、はなから期待もしない。しかし彼は冒頭から「う〜ん、もう靴が臭って臭って、クサクてたまらなかったですねえ〜」と、こんな具合だ。長時間に及んだ熱戦後、しかも深夜に、こんなインタビューの受け答えをやってのける彼のユーモアセンスが光った瞬間だった。このインタビュー以降、俄然、ファンが付いたことに間違いないだろう。私もご多分に漏れずその1人で、にわかファンになって応援し続けた。
 そして決定打は、なんと言っても翌6日プライムタイムでのクォーターファイナル、Carlos Moya(カルロス・モヤ/スペイン)にストレートで打ち勝った後のインタビューだ。案の定、出だしから笑いが起こる受け答えで、調子にのったインタビューアーが「…ところでキミはプレーヤーのモノマネとかが得意なんだそうだね…、あれ、こんなところにボールが…」と仕向けると「誰のモノマネが希望なんだい?」と彼も悪のりし出し、マリア・シャラポアが始まった。芸が細かく、まずはシャツをパンツの中に入れて持ち上げ短くするという凝りようだ。もちろん会場はヤンヤヤンヤの大喝采。とにかく上手いのである。続いて「もう1つ、もう1つだけだから、ぜひ頼む」との願いに、彼はラファエル・ナダルを披露した。今度は逆にパンツをずり下げて、ナダルの癖(パンツのオシリへの食い込みをなおす仕草)をも誇張して笑わせた。これが全米のお茶の間のプライムタイムに放映されたワケで…、もう彼への人気はトンでもないことに繋がっていった。それらは8日のファイナルを観戦しに来たセレブたちの顔ぶれを見ても明確だった。決してフェデラーを応援しに来た訳ではないことは画面からも伝わってきた。また、そのセレブたち中で声をあげてジョコビッチを懸命に応援していたシャラポアの姿がとても微笑ましく、一際、目立った存在だった。試合には破れたものの、彼に対する群衆の人気はフェデラーの何倍もの声援で証明された。
 一体、次は何が飛び出すのか? 前代未聞のテニスプレーヤーに世界中のマスコミが競って追いかけているワケだが、実際、競技に於いても王者フェデラーを食い止められるのは、デビュー4年目の新星、20歳のジョコビッチしかいない。

f0055491_7532779.jpgジョコビッチの穴
■全米放映での彼の余興(モノマネ)を見逃した人は、今ならYouTubeの「Novak Djokovic Imitator」で見られます。
 また、今大会のロッカールームで他の選手たちに爆笑されている彼の動画も今ならYouTubeの「Funny Novak Djokovic Impressions at the UsOpen 07 Exclusive!」でチェックできます。この動画ではシャラポア、ナダルはもちろんのこと、ロディックやフェデラーなども披露しています。とにかくどれも似ていてめちゃくちゃ笑えること間違いなしです。

Novak Đoković(ノバク・ジョコビッチ)
■出身地:セルビア・ベオグラード
■居住国:モナコ
■愛称:Nole(ノレ)
■ATPランキング:3位(3670p)
■生年月日:1987年5月22日(20歳)
■利き腕:右利き
■身長:187cm/体重:80kg
■使用ラケット:Wilson nBLADE nCODE
■使用シューズ:adidas Barricade IV
■使用ウエア:adidas YOC Group
■オフィシャルHP:www.novak-djokovic.com

2007年9月14日号(vol.152)掲載
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by tocotoco_ny | 2007-09-12 04:45 | 2007年1〜12月号

vol.151/表紙「MISS TEEN USA 2007」

American Girl's Way
18歳にして熟している!これがAmerican Girl's Way
■アルコール、ドラッグ、妊娠、そしてジェイルへ……というアメリカのティーンたち。パリス・ヒルトンやニコル・リッチー、リンジー・ローハンらが彼女たちのファッションリーダーに違いないのだが、そのお手本となるイケナイ行動を片っ端から実行するセレブたちを「ク〜ル!」と絶賛する今どきのアメリカンガールズは10代にして、何もかも経験済み?既に熟している——。f0055491_1484734.jpg
 今月24日、ドナルド・トランプ氏が主催する数々のミスコンの1つ「MISS TEEN USA」でミス・コロラドのヒラリー・キャロル・クルーズ(18=写真)さんが王冠に輝いた。先のミス・ユニバースUSA勝者もそうだが、決まってからスキャンダラスな事件が次々と発覚し、涙ながらに会見を行うのがお決まりのコースだ。大抵は未成年時代にアルコールを飲んでいたという情報や元カレとベッドに一緒にいる所の画像やヌード写真などがネット上に溢れ出すといった仕組み。今回のミス・ティーンは、どんな情報が飛び出すかは分からないが、それなりのスキャンダルが出たとしても誰も驚かない時代だ。
 実際、14歳になる友人の娘(CA州在住)の部屋にはビール瓶がころがり、使い終わった数個のコンドームが無造作にゴミ箱に捨てられている、と毎日、友人(母親)から泣き叫ぶ電話がかかってくる。皆がそうとは言わないが、これも現実だ。母親いわく、携帯カメラやデジカメ、デジビデなどで、そのシーンごとに彼らは面白半分、興味半分で撮影するのも当たり前と言う。で、その映した画像の一部をスクリーンネームでネット上に流したり、各機器類に消し忘れたと思われる少年少女たちのアブナイ画像の数々を親が見て驚愕する。大人たちをからかうのが目的なのか、そこまで考えが及んでいないのかは分からないが、確かに、この反抗期世代の不可解な行動は今どきの親では手に負えないようだ。
 ミスコンは全盛期に比べると、男女平等やハラスメントなどの観点から下火になっている感はあるものの、ギャルズにして見ればセレブへの近道の「おいしいイベント」で、そこそこ可愛ければ上手く使わない手はナイ。そこへ世界的傾向感のあるロリコン化。ここアメリカも例外でなく確実に世の中、ロリロリしている。ニューヨークなどの大都会を除けば、全米のほとんどの女性は20歳をも過ぎれば単なる普通のオバサン化してしまい、我々日本人からすると女子大生であろうとOLであろうと、アジアン女性と比較すれば10歳以上は有に老けて目に映る。
 さほど美人とも思えない2007年ミス・ユニバースで優勝した日本代表、森理世さん(20)しかり、中国人女優チャン・ツィイーさん(27)、アカデミー賞で候補に選ばれた菊池凛子さん(26)と、一般のアメリカ人の目にもハッキリと「アジアン女性=若く見える」「若く見える=美しい」が定着しつつある。ともなると数々のミスコンも美人顔、ナイスバディ、教養といった事柄より「若い」ことだけに重点がおかれ「若い=美しい=10代」という図式となる。ミス・ティーン以外の美の祭典は、最早「ちょいイケおばさん」程度の認識で、美女として持て囃やされる時代は過去のものとなった。よって森理世さんのミスコン優勝もあまり喜べたモノでもない。
 そう、今、最もオンナとしての売れ筋はティーン(13〜19歳)の7年間。この7年がアメリカンギャルズの貴重な勝負どきとなっている。
18-years-old from Colorado crowned Miss Teen USA
●Hilary Carol Cruz=ヒラリー・キャロル・クルーズ、コロラド州ルイスビル生まれ(18歳)、身長5フィート7インチ(約170cm)、将来の夢はマスコミ志望。5年後はTV局のエンターテインメント番組のキャスターになっているハズと自信満々に応えるティーン

2007年8月31日号(vol.151)掲載
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by tocotoco_ny | 2007-08-29 01:49 | 2007年1〜12月号

vol.150/表紙「Contest must supply missing Lyrics.」

カラオケで懐メロを、ちゃんと唱ってミリオネアを目指す!
全米で大ブレイク!21世紀版「クイズ・ドレミファドン」
■そう言えば、もう30年くらい昔の話になるが、大阪ミナミのディスコで、桑名正博の初ヒット曲「哀愁トゥナイト」のサビの部分を、踊りながら「愛してな〜い、愛してな〜い」と熱唱していた友人がいた。邦楽ですら、この調子の人も大勢いるだろう。しかし洋楽の全盛期だった80年当時、歌詞カードも何も付いていない「輸入版LPレコード」を買って、単にリズムだけで全曲を憶え、いい加減な英語でイキがって調子にのって唱っていたため、今ごろ、その言葉の意味に気付いて、自分のバカさ加減に驚かされることが多々ある。ワケを知ろうとすることもなく大声で唱っていたBob Marleyの「I Shot the Sheriff」なんか考えただけでも恐ろしいし、同じくDaryl Hall & John Oatesの「Maneater」も知らなかったとは言え、へえ〜そんな曲だったんだ、と気付いたのは数年前のことだ。またアメリカ人も、意味は分かっているけど皆な、結構、歌詞はうろ覚えで好き勝手に何十年も間違って唱っている、ということが最近になって分かってきた——。f0055491_13451084.jpg
 この7月から、NBCとFOX両局で始まった「歌詞の記憶を競う」歌番組がかなりの高視聴率で、今のところ2番組とも、この秋からのレギュラー化が決定している。今やヒップホップやラップなど、歌詞を正確に覚えるには余りに過酷で、スラングが多すぎる曲が巷に溢れかえっている中、これら両番組の参加対象となる年齢は、最低でも40歳以上。出題される曲は、主に輸入版LPレコードなどで必死に憶えた70年代前半から80年代後半の曲が多いため、日本人であっても、ついつい口ずさんでしまう馴染み深いメロディがめじろ押しだ。どちらも生バンドに合わせてギンギンの派手な衣装で、踊って唱い狂う歌手たちを観ていると、何だか21世紀版「ソウル・トレイン」と言えなくもナイ。同番組とも、参加者(挑戦者)の歌唱力を問う主旨ではないので、ヘタで音痴であろうとも正確にフレーズを口ずさむことができれば、$ミリオネアも夢ではない。f0055491_1346973.jpg
 近年、ニューヨークでもカラオケボックスが定着し、ごく一般のアメリカ人の娯楽として、かなり浸透している。そのカラオケの影響で、あのレイジーなアメリカ人でさえ、今までウロ憶えだった「歌詞」を画面を通じて確実にマスターし、皆の前で披露することに快感を憶えているようだ。この手の番組は数年前までのアメリカでは考えられなかった企画だが、我がニッポンが誇る文化「カラオケ」が、ここまで普及したことで同企画が全米でヒットとなり、市民からミリオネアを産み出すにまで至っていると言えそうだ。そう言えば、昔懐かしいクイズ番組「クイズ・ドレミファドン」(フジテレビ/渡辺プロダクション制作)世代が楽しめるような企画番組を今、日本で放送すると必ずや高い視聴率は稼げるハズ……と企むのは、私だけだろうか——。

f0055491_13433737.jpg[DON'T FORGET THE LYRICS!]
■毎週水曜日午後9時30分(東海岸時間)からFOX局で放送。最高100万ドルの賞金を目指す。司会者はWayne Brady(ウェイン・ブレイディ=以下参照)。挑戦者は「DISCO」「80's」など用意された異なるジャンルの中から順に選んで、生バンドが伴奏する出題曲をスクリーンに描かれた歌詞と共に熱唱。半ばスクリーンから急に単語が抜けてラインになっている歌詞の部分を正確に答える番組。答える単語は段階に応じて徐々に増えるが助っ人に訊いたりするなど「クイズ$ミリオネア」的な要素も含まれている。
■Wayne Brady=1972年6月2日、フロリダ州オーランド生まれ(35=写真左)。俳優、プロデューサー、作家など、何役もこなす多才なタレント。98年、自らプロデュースしたコメディショー番組「The Wayne Brady Show」で見事エミー賞も受賞している。

f0055491_13441539.jpg[THE SINGING BEE]
■毎週火曜日午後9時30分(東海岸時間)からNBC局で放送。最高5万ドルの賞金を目指して会場に集まった参加者から、まずは6人が選ばれステージに上がる。司会者(Joey Fatone/ジョーイ・ファトゥーン=以下参照)から出された課題曲を生バンドが伴奏し、プロの歌手が熱唱するが、途中ストップした時点からの歌詞を正確に熱唱しながら答える番組。英単語の綴りの知識を競う「Spelling Bee/スペリング・ビー」をもじったと思われるタイトルもなかなか国民にウケているようだ。
■Joey Fatone=1977年1月28日、ニューヨーク州ブルックリン生まれ(30=写真右)。'NSYNC(インシンク)のメンバーの1人。最近では、ABC局の高視聴率番組「Dancing with the Stars」で入賞し、人懐っこさが買われて、現在人気を博している。

2007年8月17日号(vol.150)掲載
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by tocotoco_ny | 2007-08-13 13:46 | 2007年1〜12月号

vol.149/表紙「I'm NOT Plastic Surgery」

I'm NOT Plastic Surgery
f0055491_1204684.jpg瞳にモノを言わせる秘密兵器
■今更、言うまでもないAnya Hindmarch(アニア・ハインドマーチ)の「I'm NOT a Plastic Bag」(写真左)の異常な人気ぶり。ニューヨークでも慌ててホールフーズに出かけて、日本土産にと、何個も買い求めた人も多いことだろう。元々ケイト・モスなど人気セレブが持ち歩いたことから火がついて、ご存知の通り、日本での販売元レナウンはウハウハ状態だ。さて、セレブと言えば「整形手術=Plastic Surgery」が当たり前となっている昨今だが、欧米人にはあまり必要のナイ「偽ヒトミ=マジックアイ」が、韓国の女優たちから飛び火して日本のギャルズに蔓延している。
 そういや日本のギャルズが皆、黒眼がちで、何だか急に可愛くなった気がしていたのだが……。それもそのハズ、今や一般素人が、雑誌のモデル風に俯き加減で、下からおねだり目線でカワイイ科(しな)を作って、瞳を潤ませている画像が巷でも飛び交っている。みんな瞳が大きく、俯瞰で撮っているため、胸の谷間もクッキリ。ともすれば「全員、キャバ嬢か?」と疑いたくもなるのだが……。さて、そのポイントとなっている瞳は、通称「マジックアイ」と呼ばれているコンタクトで、これは視力補正、矯正用ではなく、単に実寸の瞳のフチ(輪郭)を太くした「太枠だけのコンタクト」。すなわち「中抜き輪っかのみ」を装填している(市場価格レンズ1組/2枚=7000円前後)。日本の飲み屋でオヤヂたちが「ほれほれ、みてみて。これウチの娘なんよぉ〜」と携帯に保存しているムスメの画像は100%マジックアイである。「いい加減気付けよ。アンタの娘が素で、可愛いワケないじゃん!」とは言えまい。
f0055491_1211963.jpg

 しかし恐るべしコンタクト! 実の父親ですらコロリと騙されるこのアイテム。これら商品のキャッチコピーには「恋する瞳」「まぢっデカ目」「目ヂカラアップの最終兵器」と、オトメ心をくすぐる言葉がズラリと並び、そのバリエーションには、瞳の中に「★が輝くタイプ」はもちろんのこと「涙目カラー」でウルウルさせる商品など(写真上)、ありとあらゆるタイプが販売されている。
 これらの商品のメーカーと生産国の約9割は韓国で、本国で女優たちが挙って装着していたことから大ブームになったとか。とっくの昔に終わっていたかと思いきや、意外なところで未だ「韓流ブーム」は密かに続いている——。
2007年7月27日号(vol.149)掲載
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by tocotoco_ny | 2007-07-26 12:01 | 2007年1〜12月号