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vol.38/アメリカナイズ<むかでのすきっぷ>

その17. 軽自動車よりも、H2(ハマー)の方がいいと思えて来る(1)
 この前、日本にご帰国の折に、ふと気付いた事があるのである。もしかしたら日本の車は3台に1台位の割合でバンやワゴン車に変わっていないか、という事である。最近の調査でも、どうやら日本国民の意識も家族重視志向に変わっているようで、ファミリーで一杯荷物積み込んでお出掛けが流行っているという事なのだと推測するのであるが、一方、むかでの実家の茅ヶ崎に戻ると、今度はやたらナンバープレートが黄色い小型の車がちょろちょろ沢山走ってるではないか。茅ヶ崎という町は俗称「おめかけさんの町」と呼ばれていたらしく、皆さんが湘南にお出掛けの時ご利用になる大通りをひとつ曲がると、非常に細い路地が網の目のように入り組んでいるのが良く分かる訳で、本妻さんがおめかけさんの家を見つけられにくくしている地理的条件が整っている場所でもあるのである。まるで日本の九龍(クンルン:中国のおっかないところ)とでも呼べるようなラビリンス・シティなのである。当然、道幅は車一台が通れる位のところが多いので、対向車を見かけるとどちらかが店先の駐輪場かなんかに乗り上げて相手の車をやり過ごす格好になるのである。時折、大型車がすれ違う時などは、わざわざミラーを折りたたんですれ違う光景も見られる訳で、毎度乍らご苦労な事だなと路端で見守りながらも、もしかしたらちょっとこすったりして、もめたりしたら面白いのにな、と頭上のサタンむかでが囁いたりもするのである。しかしラビリンス・シティの住民の皆さんが全員可倒式ミラーを駆使してすれ違う程の曲乗り芸が出来る訳は無いし、若葉マークのおばちゃんもいるわ、車の鍵を取り上げた方が良さそうな紅葉マークのご老人だっておられるのである。そうなれば当然、道幅に合わせたチョロQみたいな軽自動車に人気が集まるのも当然である。ついでに、値段は安いわ、燃費はいいわ、贅沢言わなきゃ4人位は乗り込めるスペースだってあるわ、排気ガスの排出量だって少ないわ、路駐したって目立たないし邪魔にならないわで、エコロジカルな上エコノミカルな訳であり、特にむかでとしては異議無しなのである。
 だが、である。ご当地アメリカに長く住んでると、何故か大っきい車が良くなって来るのであるから不思議である。リンカーンのでっかい四輪駆動車や、GMCのマークが入った大型SUVが我がもの顔で町を疾走している姿はなかなか圧巻である。特に最近、アメリカの軍用車で湾岸戦争なんかでも御馴染みになったあの“ハンビー”(HMMWV:High Mobility Multi-Purpose Wheeled Vehicle、“汎用装輪車”の略)がいつの間にか街中を走っているからおっどろきである。現在お店では“Hummer”という名前で売られている事はご案内の通りであるが、AM General社がそもそも軍用に開発したこの車は、米陸軍の軍用車として機動性、パワー、耐久性、その他全てにおいて、トップクラスの基準を満たすように設計されていて、車体構造のバランスは、60%の急勾配や40%の傾斜面などもモノともせず、砂漠、川などあらゆる自然地経路をも乗り越えてしまう程のスグレモノなのである。昔、ジープ(Willis JEEP)という車が出来た時に、戦時中はジープが敵国語だった関係で、日本では「道路無用悪路運搬自動車」と呼んでいたのも思い出したのである。このHummerは一時アメリカでも大変人気を博して、これに乗ってロデオ・ドライブを流してるアメリカの有名なセレブも居る位であって、かのアーノルド・シュワルツェネガー州知事もご愛用らしく、同氏はなんと3台もご所有との事である。
(上記原稿は原文にほぼ忠実ですが、紙面の構成上、一部削除して数回に分け、校正、編集したものを発行)
*原文はむかでのすきっぷ本舗/アメリカナイズ(20)へ*
http://www.geocities.jp/cybermukade/mukade0460.html
2006年9月29日号(vol.131)掲載
by tocotoco_ny | 2006-09-27 07:34 | ご無沙汰むかで
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