■ほかにはナイ「自然の海」 海に続く桟橋の階段をちょっと降りて、手を水の中につけてみる。少し冷たく感じる。水温は摂氏25度くらい。エントリー方法は、陸地から入る「ショアダイブ」だ。 フィンを履いて、水中メガネに唾をつけて指でこする。レンズの曇りをなくしてから装着したのだが、なかなか思い通りにピッタリ顔に吸い付かない。ビシッと固定し、顔に密着しなければ、すぐに海水が入ってきてしまうので、少々焦りながらも、キチンと合体できるまで何度もやり直した。BCジャケットの装着は、インストラクターのペペさんが水の中で手伝ってくれた。さあ、いよいよ潜る。 ゆっくりと桟橋の階段から離れ、やっと水に浮くことができた。浮力ベストの空気を抜いて潜り、まずは呼吸の練習からだ。マウスピースをくわえながら、ボンベから酸素を吸引するのは、慣れていないとメチャクチャ難しい。深呼吸のように、深〜く、ゆっくりと息をしていくうちに、何となくコツを覚えた。海水もマスクの中には入ってこない。ペペさんも脇でしっかり手をつかんでいてくれるので、自信を持ってダイビングポイントに向かうことができた。 浮力ベストの空気をさらに抜く。いよいよダイビングの開始だ。海底が徐々に砂からサンゴ礁に変わっていく。約10メートルほど泳ぐと、底がなくなったように急に深くなった。水深15メートル。景色が一変し、ブルーやイエローの熱帯魚の群れが、すぐ目の前を悠々と通り過ぎていく。 チョウチョウウオ、エンゼルフィッシュ、スズメダイなど色鮮やかなサカナたち。地上からは想像すらできない別世界が、ここには存在する。 サンゴ礁といえば、ピンクの枝のようなサンゴを思い浮かべる人が多いと思うが、ここのサンゴはパープルの長い筒形の種類や黒い岩のような種類だ。もっと深く潜れば、また違ったものが見られるかも知れない。岩には小さなイソギンチャクが密生し、指を近付けるとギュッと口を閉じる。ペペさんが指指す方を見ると、中型のエイが砂の下に隠れていた。 ボネール周辺の海洋保護区域では、体につけて潜水を助ける重りを、不必要に着けることを禁じている。サンゴ礁に近付き過ぎて、傷つける恐れがあるからだという。またサカナやサンゴに触ること、水中から何か持ち去ること、船が錨を下ろすことも固く禁じている。こうして守られているからこそ、他にはない自然が、ここには息づいているのだろう。 約20分の夢のような時間があっという間に過ぎた。サカナと一緒に泳いでいる時間は、地上のイヤなこともすべて忘れさせてくれる。このままずっと海中を泳いでいたい気がした(次号に続く)。 ●BONAIRE - the Netherlands Antillesシリーズ(1)はこちらからどうぞ! 2006年10月13日号(vol.132)掲載 Copyright © 2000-2006 tocotoco, S.Graphics all rights reserved.
by tocotoco_ny
| 2006-10-10 14:50
| ガイドブックにない島
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