本編は、逆に米国から日本に渡来した植物たちの事も考えてみたい。
セイタカアワダチソウという北アメリカ原産のキク科植物は、第二次世界大戦後、日本各地に急増した事は覚えておられる方も多いのではないか。 むかでもご幼少のみぎりには、近所の空き地に身の丈程の高さで生息するこの植物を手折っては友人とちゃんばらごっこに興じたものである。 この植物の渡来のルーツは、養蜂家が蜜源植物としてアメリカから持って帰って来たという事らしいのである。 セイタカアワダチソウはご当地ではケンタッキー州の州花としても有名である。ところで、この植物が日本で異常繁殖出来たのにはそれなりの理由があるのである。それは、「アレロパシー(Allelopathy)」という作用によってのし上がったという事なのである。この「アレロパシー」とは、日本語では「他感作用」と訳されていて、他の植物の生長を抑制する物質(アレロケミカル)を放出したり、動物や微生物を誘き寄せたり、排除したりする作用の事なのである。なるほど、セイタカアワダチソウは他を押しのけてでも成長を果たすという、正に戦後高度成長期の日本にはぴったりの植物だった訳である。だが、最近ではこの植物、特に平成に入ってからは、空き地不足も手伝ってか、比較的背丈が低くなりつつあるそうではないか。そうか、植物だって日本の経済成長率を見て自分の背丈を自粛するエコな奴だって居るという事なのである。セイタカアワダチソウ君はちゃんと「空気が読める」奴だったのである。 ところで、アレロパシーならば、ご当地アメリカでも活用事例をまま見かける事が出来るのである。例えば、マンハッタンの地下鉄で良くお見かけする、お腹を掻いてて、ばっちくて臭くてスーパーの買い物カートに一杯空き缶詰めて電車に乗って来る親父も、鼻が取れる程の芳香を振り撒きながら、他者の着座を阻害しているのである。きっとあれも又、アレロパシーの類似物質に違い無いのである。 日本において、こういった帰化植物の中で最も代表的なものと言えば、なんと言ってもタンポポであろう。日本ではその昔、アメリカタンポポと呼ばれていた事もあるが、現在では西洋タンポポで名前が定着しているようである。日本古来から棲息しているものは日本タンポポと呼ばれており、前者とは区別されているのだが、最近の日本では西洋タンポポが圧勢であり、日本タンポポの数がかなり減ってしまっているとの事である。 (原文まま) *掲載号では、誤字、脱字は校正し、編集したものを発行* 2008年2月29日号(vol.161)掲載
by tocotoco_ny
| 2008-02-28 13:47
| ご無沙汰むかで
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